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お知らせ(イベント)

【2015.11.12】TUFS Cinemaインド映画特集の案内

 

「TUFS Cinemaインド映画特集」をご紹介します。
東京外国語大学のホームページでも紹介しています。
http://www.tufs.ac.jp/event/general/tufs_cinema_4.html

1.概 要
東京外国語大学では、世界中の言語の研究を長年にわたり進めています。現在、言語文化学部、国際社会学部では、地域言語A(専門科目)としてヒンディー語、ウルドゥー語、ベンガル語が教授されているほか、マラーティー語、マラヤーラム語、タミル語などインド各地域の言語を学ぶことができます。TUFS-Cinema*の一環として、多様な言語を抱える広大なインドの映画を上映することにより、インドおよび南アジア社会文化理解の一端を担っていくことが本上映会の目的です。

本年は国立民族学博物館との共催により、「みんぱく映画会 インド映画特集」で上映された2作品を含む、従来のインドの娯楽映画とは違ったインドの4つの言語よる劇映画4作品の上映を予定しています。今回の作品を、学内のみならず一般公開することにより、南アジアの文化と社会理解促進を図ってまいります。
*TUFS-Cinemaとは、映画配給会社等の支援・協力により、東京外国語大学で行われている、世界の諸言語による映画、演劇上映および講演会等を実施するプロジェクト。

2.会 場
 東京外国語大学(東京都府中市)のプロメテウス・ホール(収容人員約500)

3.上映作品(上映順)
第1回 2015年11月28日(土)14:00開映(13:30開場)
「カーンチワラム サリーを織る人」(Kanchivaram)


2008年 タミル語 117分 日本語・英語字幕付き
監督 プリヤダルシャン  出演 プラカーシュ・ラージ シュリヤ・レッディ

タミル語は南インド・タミルナードゥ州の公用語。 ムンバイで製作されるヒンディー語映画界とともに、インドの映画産業の中心地のひとつ。日本で一大ブームを呼んだ「ムトゥ 踊るマハラジャ」はタミル語映画。今作は南インドを代表し、ヒンディー語娯楽映画界でも活躍する巨匠プリヤダルシャンの代表作の一本。

舞台は、シルク・サリー生産で有名な南インド・タミルナードゥ州カーンチープラム(カーンチワラム)である。インド独立直後の1948年、手織りシルク・サリー職人が、当時の悲惨な労働環境のもとで、新婚の妻にさえ高価なシルク・サリーを贈ってあげられないほどの貧困にあえぎ、権力にはげしく抵抗ながら生活を改善しようと奔走するすがたをリアルに、しかし美しい画像で描いた佳品。 2008年度ナショナルフィルムアワード最優秀作品賞に輝いたほか、海外でもいくつかの賞を受賞している。残念なことにこの映画が制作されたころから、手織りシルク・サリーは急速にその勢いを失い始めている。(杉本良男)

解 説:杉本良男 (国立民族学博物館・民族文化研究部・教授)

第2回 2015年12月5日(土)16:00開映(15:30開場)
「ミルカ」(Bhaag Milkha Bhaag)

2013年 ヒンディー語 153分 日本語字幕付き
監督 ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ 出演 ファルハーン・アクタル ソナム・カプール

ヒンディー語はインドの連邦公用語。世界で4番目に多くの話者がいる(統計の違いで順位が異なることがある)。ボリウッドはボンベイ(現ムンバイ)で製作されるヒンディー語娯楽映画の総称で、年間250本以上製作されている。本作は実在のアスリート、ミルカ・シンの半生を描いたラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラの2013年作品。

1960年ローマオリンピック、陸上競技400m決勝。先頭をひた走るインド代表のミルカ・シンは、ゴールの直前で背後を振り返り、期待されていたメダルを逃した。ミルカはなぜ振り返ったのか?その謎は彼の数奇な運命と複雑に絡み合っていた。1947年、インドとパキスタンはイギリス領からの分離独立という形で誕生。幼いミルカとその一家が暮らすシク教徒の村に残酷な運命が襲いかかり、少年ミルカは避難民となる。やがて彼はインド軍へ入隊し一流のスプリンターに成長。平和を希求するシンボルになっていく。2014年のインド国家映画賞、フィルムフェア賞などをはじめ多くの賞を獲得。2015年、日活/東宝東和配給作品。

解  説:萬宮健策(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院・准教授)

第3回 2015年12月12日(土)14:00開映(13:30開場)
「シャモルおじさん 灯りを消す」(Shyamal Uncle Turns Off The Lights)

<日本初公開>
2012年 ベンガル語 65分 日本語・英語字幕付き
監督 シュモン・ゴーシュ  出演 シャモル・ボッタチャルジョ

ベンガル語は、南アジア大陸の東側に位置するバングラデシュの国語でありインドの西ベンガル州の公用語。この地域は、その東側にイスラーム教徒が多く暮らし、西側にヒンドゥー教徒が多く暮らすなど、多様な文化的背景を持っている。本上映会では、これまであまり紹介されてこなかったコミカルなベンガル語映画を上映。

舞台は、東インド・西ベンガル州コルカタ近郊。80歳の隠居シャモルは、自宅前の街灯が日中も煌々と照らされていることに気づく。資源の無駄使いに憤慨したシャモルは、一日も早く明かりを消そうと警察や政治家の元を訪ね歩く。だが、役所をたらい回しにされるばかりで、まじめに話を聞いてくれようとする者は現れない。果たして街の灯りは本当に消えるのか?世の中の無関心をものともせず、社会を変えていこうとする老人の正義をユーモラスに描いた作品。グローバル・レンズ・イニシアティブとニューヨーク近代博物館のコラボレーションによるグローバル・レンズ2013選出作品。

解 説:臼田雅之(東海大学名誉教授)

第4回 2016年1月23日(土)16:00開映(15:30開場)
「ファンドリー」(FANDRY)

2013年 マラーティー語 103分 日本語・英語字幕付き
監督 ナグラージ・マンジュレ 出演 ソムナート・アウガデ サンジャイ・チョウドリ

マラーティー語は西インド・マハーラーシュトラ州(ムンバイ所在地)の公用語。
ムンバイ(ボンベイ)はヒンディー語によるインドの娯楽映画ボリウッドの本拠地であるが、地元言語マラーティー語映画の製作も盛んで、ここ最近、人間ドラマ (歌や踊りはほとんどない)を描いた秀作が多く製作され、国内外で高い評価を受けている。「ファンドリー」はその代表的な作品の一本。

舞台は、西インド・マハーラーシュトラ州の農村。村はずれに住む、不可触民の少年ジャビャーの家族は、差別され、貧しい暮らしを余儀なくされている。高カーストの少女シャルーに恋心を抱いているが、話しかけられず、ただ見ているだけ。ジャビャーは、幸せをもたらすといわれる黒い雀を見つけようと、友人と一緒に探し回るが…。少年の淡い恋心をベースに、いまだに根強く残るカースト差別という社会問題に迫る本作は、国際映画祭で数々の賞を受賞するとともに、インド映画界の名誉と言われるナショナルフィルムアワードの最優秀監督デビュー賞と最優秀子ども俳優賞を受賞した。 (松尾瑞穂)

解 説:松尾瑞穂(国立民族学博物館・先端人類科学研究部・准教授)

*みんぱく映画会の上映作品については、国立民族学博物館の解説担当者に出張していただきます。第3回のベンガル語映画は東京外国語大学で開催される国際ベンガル学会(http://www.tufs.ac.jp/ts2/society/Bengal/taikai.html)の会期中に行われます。
*映画上映期間中、学内で本学図書館、文書館が有する蒲生文庫や、史資料ハブで収集した書籍、資料を中心に、南アジアに関する展示を行います。

入場 無料/先着順/申し込み不要
主催 東京外国語大学
共催 国立民族学博物館
協力 Holy Basil Productions Pvt. Ltd/Director Suman Ghosh/Mr. Arindam Ghosh/日活株式会社/東宝東和株式会社/現代インド研究センター/国際ベンガル学会/Ms. Dan Kyoko

以上
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